上頚心臓枝(迷走神経の)Rami cardiaci cervicales superiores (Nervus vagus)
解剖学的構造と走行
- 迷走神経から分岐する2〜3本の上頚心臓枝は、頚部の上部と下部に存在する (Gray and Williams, 2021)。
- 上枝は比較的小径であり、交感神経の心臓枝と密接な神経連絡を形成している (Standring, 2023)。
- これらの神経枝は、頚動脈の周囲を下行しながら進展する。
- 左右で非対称な走行を示し、特に左側の枝は大動脈弓の前面に到達する特徴がある (Moore et al., 2022)。
- 最終的に、下部頚神経節からの交感神経線維と合流し、心臓神経叢を形成する。
生理学的機能
- 心臓神経叢の深部組織まで神経線維を送り、心臓の副交感神経支配を担う (Hall and Hall, 2020)。
- 心拍数の減少および心筋収縮力の調節に重要な役割を果たす。
- 交感神経系と協調して、心臓の自律神経調節を精密に制御する。
解剖学的関連構造
- 頚動脈系および大動脈弓との位置的関係が解剖学的に重要である (Netter, 2023)。
- 下部頚神経節からの交感神経線維と複雑な神経叢を形成する。
- 他の心臓支配神経との間に豊富な神経連絡を有する。
臨床病理学的意義
- 上頚心臓枝の機能障害は、心臓の自律神経調節機構に重大な影響を及ぼす (Kumar et al., 2022)。
- 頚部外科手術における医原性損傷により、心機能障害を引き起こす可能性がある。
- 心臓神経叢における機能的重要性から、その障害は多様な不整脈の発生リスクを上昇させる。
- 頚部腫瘍や炎症性疾患の進展により、神経機能が二次的に障害されることがある (Robertson and Robertson, 2021)。