下神経節(迷走神経の) Ganglion inferius
1. 基本的解剖学的特徴
- 迷走神経は、頚静脈孔を出た直後に副神経の内側枝を受け入れ、節状神経節(下神経節)を形成する (Moore et al., 2018)。
- 紡錘形の大きな感覚神経節であり、頸静脈孔直下の末梢神経系の一部として位置する (Standring, 2020)。
- 内頚動脈および内頚静脈と近接しており、頚部深部の筋膜に囲まれている。
2. 神経学的構造と特徴
- 偽単極性の神経細胞を含み、一般体性感覚および内臓求心性の神経支配を担う (Patestas and Gartner, 2016)。
- 神経細胞体は求心性線維の起始となり、迷走神経の感覚機能の基盤を形成する。
- 豊富な血管網を有し、神経細胞の高い代謝活性を維持している。
- 上喉頭神経や咽頭枝などの多くの神経枝は、この神経節を通過する (Drake et al., 2019)。
3. 生理学的機能
- 消化管、呼吸器、心臓からの求心性情報を中継する主要な感覚神経節である (Hall, 2021)。
- 頭頸部の体性感覚情報を処理し、迷走神経の感覚機能において中心的役割を果たす。
- 喉頭蓋の味蕾を支配する神経は、孤束核吻側部でシナプスを形成する (Kiernan and Rajakumar, 2023)。
4. 発生学的特徴と付随構造
- 神経堤に由来し、迷走神経の発達過程で形成される (Schoenwolf et al., 2021)。
- 脊髄神経節と同様の構造を持ち、中枢神経系と末梢神経系を結ぶ重要な中継点として機能する。
- 節状神経節の周辺または内部には、クロム染色陰性の節状パラガングリオンが存在する。
5. 臨床的重要性
- 頚部手術や外傷時の損傷リスクが高く、特別な注意が必要である (Snell, 2019)。