迷走神経 Nervus vagus [X]

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脳底の動脈(大脳動脈輪を中心に)

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J0426 (頭側から見た気管始部を通る頚部の断面図)

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J0757 (12歳少年の胸部臓器:前方からの図)

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J0758 (右の胸腔と縦隔、肺および胸膜の除去:右側からの図)

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J0760 (胸骨を通る水平断面:上方からの図)

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J0761 (胸骨を通る水平断面:上方からの図)

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J0834 (脳の底部:下方からの図)

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J0835 (脳幹:右方からの図)

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J0840 (後脳および延髄:左外側からの図)

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J0841 (脳幹:小脳の右半分が除去)

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J0843 (脳:下前方からの図)

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J0883 (大脳脚の方向に切断した脳の断面:前方からの断面図)

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J0890 (運動および感覚の主要な末梢神経の原核は、透明に描かれた脳幹に模式的に記入されている:後方からの図)

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J0902 (硬脳膜:上方からの図)

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J0904 (硬脳膜と頭蓋骨を通る神経)

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J0918 (頭蓋骨内の舌咽神経、迷走神経、副神経の経過:後方からの図)

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J0919 (右側の舌神経:右方からの図)

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J0920 (右の咽頭の神経:右方からの図)

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J0921 (舌粘膜の感覚神経の分布)

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J0922 (右迷走神経の耳介枝:後方からの図)

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J0923 (頚部の右迷走神経:右側からの図)

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J0924 (胸腔および腹腔にある左迷走神経:左側からの図)

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J0931 (横隔神経:前面からの図)

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J0976 (右交感神経の胸部網状組織、右前方からの図)

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J0977 (腹腔神経叢:前面からの図)

1. 基本的特徴と構造

迷走神経(Nervus vagus [X])は第10脳神経として、延髄の外側から多数の小根として発生する混合神経である。主として副交感神経系に属し、体性神経系の要素も含んでいる(Standring, 2021)。

迷走神経核は、延髄の背側核(副交感性運動核)、疑核(特殊内臓運動性)、孤束核(内臓知覚性)の3つの核から構成され、それぞれが特異的な機能を担っている(Drake et al., 2020)。頭蓋底では頸静脈孔を通過し、上神経節(感覚性)と下神経節(混合性)を形成し、これらは重要な中継点となっている。

2. 走行経路と分布

「迷走」という名称は、その複雑な走行経路と自律神経叢の形成に由来し、頭蓋内から腹腔に至るまで広範な領域に分布している(Moore et al., 2022)。頸部では総頸動脈に沿って下行し、胸腔では食道の周囲を走行する過程で、多くの分枝を出して周囲の組織に分布する。

3. 心臓への分布と機能

心臓への分布は動脈門と静脈門の2つの経路から行われる。動脈門からの心臓枝は、頚動脈枝および大動脈・肺動脈枝(AP枝)として分布し、心拍数の調節と冠状動脈の拡張に関与する(Netter, 2023)。静脈門からの心臓枝は、前後の肺静脈洞枝、大静脈枝、および洞房枝として分布し、心臓の自律神経調節において重要な役割を果たす(Standring, 2021)。

4. 消化器系への分布

迷走神経は食道、胃、十二指腸に分布し、消化管の蠕動運動と分泌を調節する。また、胃酸分泌の促進や胃粘膜の保護にも関与する(Snell, 2019)。

腹部では左右の迷走神経幹を形成し、前幹は主に胃の前面と肝臓へ、後幹は胃の後面と腹腔神経叢へ分布する。これらの神経枝は、消化管の運動性と分泌機能を制御する(Moore et al., 2022)。

5. 呼吸器系への分布

前後の肺枝を形成し、気管支の周囲に沿って肺実質内に入り、気道の緊張度と分泌の調節に重要な役割を果たす(Gilroy et al., 2021)。気管支平滑筋の収縮と気管支腺の分泌を調節し、気道の過敏性や炎症反応にも関与する(Standring, 2021)。

6. 喉頭への分布

上喉頭神経は内枝と外枝に分かれ、喉頭および咽頭下部の外表面に分布する。これらは、嚥下反射や声帯の位置調節に重要である(Drake et al., 2020)。喉頭粘膜の神経支配は主として内枝によって行われ、声帯の前半部および声門下腔の粘膜に分布し、粘膜の知覚と防御反射に関与する(Moore et al., 2022)。

7. 反回神経(下喉頭神経)の特徴

反回神経は迷走神経の主要な運動枝で、右側は鎖骨下動脈、左側は大動脈弓の下を回って上行する。左右で異なる走行経路をとることは、臨床的に重要な意味を持つ(Moore et al., 2022)。

喉頭内筋(輪状甲状筋を除く)を支配し、声帯の運動を制御する。発声や呼吸の調節に不可欠な役割を果たす(Drake et al., 2020)。頚部を上行する際、食道と気管の溝に沿って走行し、これらの器官にも枝を送り、周囲の組織の神経支配にも関与する(Netter, 2023)。

8. 自律神経系との関連