舌咽神経の硬膜枝との交通枝 Ramus communicans nervus glossopharyngei cum ramo meningeo nervus vagi
構造と機能
- 舌咽神経と三叉神経の下顎枝の硬膜枝を接続する小神経であり、主に感覚情報の伝達を担う。
- 頭蓋底の後頭蓋窩付近に位置し、三叉神経系との重要な神経連絡を形成する。この交通枝は比較的細い神経線維束で構成されており、個体差による解剖学的変異が認められる。
- 頭蓋内の神経ネットワークの一部として、痛覚、圧覚などの体性感覚情報を伝達し、感覚情報の統合に重要な役割を果たす。
臨床的意義
- 頭蓋内の痛覚伝達経路として、様々な頭痛症状の発現に関与することが示唆されている。特に、緊張性頭痛や片頭痛などの病態との関連が注目されている。
- 脳神経外科手術において、慎重な取り扱いが必要な重要な解剖学的構造である。手術操作による損傷を避けるため、その走行と変異について十分な理解が求められる。
- 三叉神経の下顎枝との神経連絡を介して、口腔・咽頭領域の複雑な感覚情報処理に寄与している。また、耳介後部や外耳道の感覚にも影響を及ぼすことが解剖学的研究により明らかになっている。
関連する神経支配
- 舌咽神経は、咽頭および舌後方3分の1の領域の感覚を支配し、味覚、一般体性感覚の伝達に重要な役割を果たす。
- 三叉神経の下顎枝は、咀嚼筋群への運動支配と下顎部の広範な感覚支配を担当し、その硬膜枝は頭蓋内硬膜の感覚支配に関与する。
- 迷走神経は、咽頭、喉頭から始まり、胸腔・腹腔内の諸臓器まで広範な自律神経支配を行う。これらの神経の交通枝により、複雑かつ精緻な神経ネットワークが形成される。
- 耳神経節は、これらの神経連絡における重要な中継点として機能し、感覚情報の統合と伝達に貢献している。

J0914 (耳神経節:内側からの図)