蝸牛神経 Nervus cochlearis
1. 基本的特徴と構造
- 蝸牛神経は、内耳神経(前庭蝸牛神経)の一部を構成し、第VIII脳神経として知られる。
- 内耳道を経由して蝸牛に到達し、ラセン神経節(蝸牛神経節)の神経細胞体を含む。
- 有髄神経線維で構成され、双極性ニューロンの中枢性突起として機能する。
2. 機能と経路
- コルチ器の有毛細胞からの聴覚情報を受容し、中枢へ伝達する。
- 蝸牛神経核(腹側・背側)に投射し、その後、上オリーブ核複合体を経て、下丘、内側膝状体を通り、最終的に大脳聴覚野に至る。
- トノトピー配列により、周波数選択的な情報処理が可能である。
3. 発生と発達
- 耳板から発生する内耳神経節に由来し、胎生期に蝸牛の発達とともに分化する。
4. 臨床的意義
- 感音性難聴の診断において重要であり、聴神経腫瘍による圧迫や先天性の遺伝子異常が機能障害の原因となる。
- 加齢や炎症性疾患による神経変性も、聴覚障害を引き起こす。
5. 診断と評価
- 聴性脳幹反応(ABR)検査、MRI、純音聴力検査、語音聴力検査により、機能と形態を評価する。

J0861 (図863-871で示された切断方向を示す、成人の脳幹を後ろから右側からの図)

J0866 (蝸牛神経が入る部位を通る脳幹の断面)