後耳介神経 Nervus auricularis posterior
基本解剖学的特徴
- 顔面神経の枝で、茎乳突孔を出た直後に分岐する。
- 乳様突起の前面を上行する。
- 後頭筋、側頭頭頂筋、後耳介筋に分布する。
- 顎二腹筋後腹と茎突舌骨筋に枝を供給する。
- 後頭動脈および耳介側頭動脈の枝に伴行する。
- 後耳介神経は感覚枝も含み、耳介の後部皮膚に分布する。
血管との関係
- 後耳介動脈とともに上行し、その分枝に伴行する。
- 茎乳突動脈の周囲を走行する。
臨床的意義
- 顔面神経減圧術の際の重要な指標となる。
- 側頭骨手術時に損傷を受けやすい。
- 損傷すると後頭部や耳介後部の感覚障害、および後耳介筋の麻痺を生じる。
解剖学的変異(日本人の統計)
- 起始部は茎乳突孔の孔下縁が最多(50.0%)で、次いで孔内(29.4%)、孔外(20.6%)である。
- 経過は鼓室乳突裂の裂内通過が最多(62.4%)で、後方通過(34.4%)がこれに続く。
- 顔面神経は神経幹から分岐後、165 mm前後(89~220 mm)経過して上下の2枝に分かれる。
その他の解剖学的特徴