耳介側頭神経 Nervus auriculotemporalis
1. 解剖学的特徴
- 下顎神経の分枝として、中硬膜動脈を挟む2本の根で始まる (Standring et al., 2021)。
- 下顎骨関節突起の内側を通り、後方から外上方へと弓状に走行する (Drake et al., 2020)。
- 耳下腺の下方において、浅側頭動脈の後方に位置している (Drake et al., 2020)。
- 顔面神経から副交感神経線維を受け取り、耳下腺へと分布する (Moore et al., 2023)。
- 側頭下窩において、耳神経節と交通枝を形成する (Janis et al., 2020)。
- 外耳道と鼓膜の前部、および顎関節に感覚枝を分布する (Brennan et al., 2022)。
2. 神経支配
- 耳介前部および側頭部の皮膚に、複数の分枝を出して分布する (Moore et al., 2023)。
- 上側頭線までの側頭部皮膚に感覚線維を提供する (Janis et al., 2020)。
3. 臨床的意義
- 手術や外傷による損傷により、側頭部の感覚異常や耳下腺機能障害を引き起こす可能性がある (Brennan et al., 2022)。
- 顎関節症における疼痛に関与することがある (Speciali and Dach, 2015)。
- 片頭痛や側頭部の疼痛治療において、耳介側頭神経ブロックが用いられる (Janis et al., 2020)。
- フレイ症候群(味覚性発汗症候群)の病態生理に関連している (Shahani, 2016)。
4. 発生学的特徴
- 第一鰓弓に由来する三叉神経の一部として発生する (Sadler, 2022)。
- 発生過程において、下顎神経の感覚枝として分化する (Larsen et al., 2018)。
5. 参考文献