頬神経 Nervus buccalis
基本的特徴
- 知覚神経であり、外側翼突筋を貫通、または下方を走行して、頬筋の外側面を前方に向かう。
- 下顎神経の枝として分岐し、頬粘膜および頬部皮膚に感覚を伝える。
- 基部では内側に耳介側頭神経が、外側に頬神経が位置する。
- 外側翼突筋との関係は個体差があり、筋を貫通する場合と筋の下方を走行する場合がある。
- 頬筋に達すると、神経は筋の外側面に沿って前方に向かい、頬部の知覚を支配する。
神経支配と連絡
- 頬粘膜と頬部皮膚に分布し、顔面神経の枝と吻合している。
- 頬神経は、顔面神経の運動枝とも密接な関係があり、特に頬筋領域で重要な神経叢を形成する。
- 頬部における知覚の伝達経路として、口腔内の感覚情報を三叉神経節に伝える重要な役割を果たす。
- 下顎神経の前枝の一つとして、頬筋神経叢の形成に関与する。
臨床的重要性
- 損傷により、頬部の感覚障害を引き起こす可能性がある。
- 下顎骨手術や口腔内の局所麻酔時には、特に注意が必要である。
- 頬筋神経叢の損傷は、咀嚼や表情筋の機能に影響を及ぼす可能性がある。
- 顔面神経麻痺の診断時には、頬神経の機能評価も重要となる。
- 歯科治療における局所麻酔時の合併症として、一時的な知覚障害が生じることがある。
解剖学的変異
- 外側翼突筋との位置関係や走行経路には、個体差が認められる。