滑車下神経 Nervus infratrochlearis
解剖学的特徴
- 知覚神経である (Moore et al., 2022)。
- 眼神経から分岐し、上斜筋の下方を通って眼窩内側壁を前方に走行する (Standring, 2021)。
- 滑車上神経内側枝と吻合して神経弓を形成する (Tubbs et al., 2015)。
- 眼窩内側部を貫通して眼窩前部に出る (Netter, 2023)。
- 鼻背部の皮膚および結合組織に分布する (Paulsen and Waschke, 2018)。
分布と機能
- 眼瞼枝を分枝する (Netter, 2023)。
- 上下眼瞼、内眼角部の皮膚、および涙嚢の感覚を支配する (Standring, 2021)。
- 涙小管および涙道の感覚も支配している (Selhorst et al., 2020)。
臨床的意義
- 滑車下神経の損傷は、内眼角部周辺の感覚障害を引き起こす可能性がある (Drake et al., 2020)。
- 眼窩手術や顔面外傷の際に注意が必要な神経である (Hayreh and Scott, 2019)。
- 涙嚢炎の症状に関連して、この領域の感覚異常が生じることがある (Kakizaki et al., 2017)。
- 三叉神経痛の一種として滑車下神経痛が報告されている (Kondrashova and Rothman, 2018)。
解剖学的変異
- 約10%の症例で滑車下神経が欠如していることがある (Kim et al., 2018)。
- 滑車上神経との吻合パターンには個人差がある (Hwang et al., 2016)。
関連用語