前頭神経 Nervus frontalis
基本構造と経路
- 前頭神経は、眼神経の主要な枝であり、眼神経の直接の延長として1.5~2.0 mmの太さを有する。
- 上眼瞼挙筋の上面を前方へ走行し、眼窩上神経と滑車上神経に分岐する。
主要な枝
- 滑車上神経:滑車付近で上枝と下枝に分かれ、前頭部、上眼瞼、結膜および鼻背皮膚に分布する。
- 眼窩上神経:内側枝と外側枝に分岐し、それぞれ前頭切痕・孔と眼窩上孔・切痕を通り前頭部に分布する。
臨床的意義
- 前頭神経は感覚性の神経であり、額部および頭頂部の皮膚に知覚を供給する。
- 前頭神経ブロックは、三叉神経痛や片頭痛の治療に用いられることがある。
- 手術時の前頭神経の損傷は、前頭部の感覚障害や痛みを引き起こす可能性がある。
神経の走行と分布
- 前頭神経は眼窩内を前方に走行し、上眼瞼挙筋の上面を通過する。
- 最終的な分布領域は、前頭部から頭頂部にかけての広範な皮膚領域に及ぶ。
- 周囲の神経(滑車神経、涙腺神経など)と複雑な交通枝を形成することがある。
解剖学的変異
- 前頭神経の分岐形式は、6つの主要な型に分類される。
- 眼窩上縁の孔や切痕は、1~3個の変異があり、その数と配置に個人差がみられる。
- まれに前頭神経が欠如し、眼窩上神経の内側枝と外側枝が眼神経から直接分岐することがある。
分布領域の個人差