眼神経 Nervus ophthalmicus [Va; V1]
基本特徴
- 三叉神経の第一枝(CN V1)として機能する。
- 海綿静脈洞の外側を走行し、上眼窩裂を経て眼窩へ進入する。
- 涙腺神経、前頭神経、鼻毛様体神経の3枝に分かれ、他の脳神経および交感神経と交通枝を形成する。
疾患と治療に関する特徴
- 眼窩部の感覚を支配する重要な神経であり、損傷により角膜反射の低下や眼窩部の知覚障害が生じる。
- 三叉神経痛の一症状として眼神経領域の痛みが出現することがある。
- 手術時の損傷リスクが高い部位であり、特に前頭蓋底手術時には注意を要する。
- 帯状疱疹ウイルスの感染により眼帯状疱疹を引き起こすことがある。
臨床的意義
- 神経ブロック治療の重要な対象となり、眼窩部の疼痛管理に使用される。
- 眼科手術における局所麻酔の際に重要な指標となる。
- 頭痛・片頭痛の病態に関与することがある。
解剖学的特徴
- 起始部は横径1.6~2.0mm、縦径4.6~5.0mmの大きさを有する。
- 起始直後にテント枝を分岐する。
- 分岐部は総腱輪の上外側に位置する。
- 分岐様式は3枝同時分岐型と段階的分岐型の2型に分類される。
- 分岐は上眼窩裂内あるいは頭蓋腔内で生じる。