三叉神経の知覚根 Radix sensoria
解剖学的特徴
- 三叉神経の主要部分を構成する体性感覚線維束。
- 三叉神経節から発生し、単一の大きな感覚根として橋へ進入する。
- 橋内で三叉神経主感覚核および三叉神経脊髄路核へと投射する。
- 知覚根は直径が約3-4mmで、運動根よりも太い。
- 三叉神経の知覚根は橋の外側部で、運動根の背側(後方)に位置する。
- 中枢側の線維は橋内を走行し、三叉神経の中脳路核、主知覚核、脊髄路核に終止する。
- 知覚根の線維は偽単極性ニューロンの中枢性突起であり、三叉神経節(ガッセル神経節)に細胞体を持つ。
機能
- 顔面および口腔の感覚情報を脳へ伝達する主要な経路である。
- 顔面、頭皮、歯、口腔粘膜、鼻腔、副鼻腔からの触覚、温度覚、痛覚を伝達する。
- 咀嚼筋の固有感覚(筋紡錘と腱紡錘からの求心性情報)を伝える。
- 歯根膜からの圧受容器からの情報も伝達する。
臨床的意義
- 三叉神経痛や顔面の感覚障害の原因となる病変の診断に重要。
- 神経圧迫や脱髄性疾患により、顔面の感覚異常や痛みが生じることがある。
脳の断面(模式図を含む)
