視神経 Nervus opticus [II]
解剖学的特徴
- 視神経は、視交叉から眼球に至る脳神経であり、直径3〜5mm、長さ約55mmの神経線維束である。
- 約80〜100万本の有髄神経線維を含み、視覚情報の伝達を担う。
- 網膜神経節細胞層に存在する多極神経細胞の軸索によって構成される。
血管系の構成
- 網膜中心動脈は、視神経鞘内を走行しながら網膜への主要な血液供給を担当する。
- 視神経実質は、眼動脈から分枝する視神経鞘動脈により栄養される。
髄膜被覆
- 視神経は、脳実質の延長として3層の髄膜(硬膜鞘、クモ膜鞘、軟膜鞘)に包まれる。
- これらの髄膜鞘は、頭蓋内の脳髄膜と直接的な連続性を持つ。
走行経路と構造変化
- 網膜最内層において神経線維層を形成し、視神経乳頭部に集束する。
- 強膜篩板通過後に有髄化が始まり、眼球後方5〜15mmの位置で網膜中心動脈を受け入れる。
- 視神経管を経て頭蓋腔内に進入し、視交叉を形成した後、視索となって外側膝状体や上丘などの一次視覚中枢へと到達する。
病理学的重要性
- 視神経の障害は、重度の視覚障害や失明を引き起こす可能性がある。
- 緑内障、視神経炎、視神経萎縮などの様々な病態に深く関与する。
- 外傷、腫瘍性病変、炎症性疾患により、視神経機能が著しく障害されることがある。
機能的特性