後根(脊髄神経の)Radix posterior (Nervus spinalis)
基本構造
- 脊髄神経の後根は、脊髄神経節の神経芽細胞の中枢性突起から形成される。
- 後根の線維は脊髄に入ると、長い上行枝と短い下行枝に分かれ、灰白質の細胞とシナプス結合する。
- 上行枝の一部は、延髄の楔状束核(Burdach核)と薄束核(Goll核)に終止する。
走行パターン
- 後根は、脊髄神経節から中枢側に向かって脊髄後外側溝に入る。
- 後根は、硬膜を貫通する際に前根と合流して共通の硬膜鞘を形成する。
- 後根線維は、主に有髄神経線維で構成され、感覚情報を脊髄に伝達する。
神経伝達物質と機能的特徴
- 後根神経節細胞の多くは、グルタミン酸を主要な神経伝達物質として使用する。
- 後根を通る感覚情報には、触覚、痛覚、温度覚、固有受容覚などが含まれる。
- 後根神経節細胞は偽単極性ニューロンで、末梢と中枢の両方向に軸索を伸ばす特殊な形態を持つ。
臨床的意義
- 後根神経節の炎症や圧迫は、帯状疱疹や神経根症などの疾患の原因となる。
- 後根切断術は、重度の慢性疼痛の治療法として歴史的に用いられてきた。
- 後根の障害は、対応する皮膚分節の感覚脱失を引き起こす。
解剖学的重要性
- 後根は感覚情報の伝達経路として、末梢から中枢神経系への重要な入力経路を形成する。
- 後根の空間的配置は、デルマトーム(皮膚分節)の区分けと密接に関連している。