末梢神経系 Systema nervosum periphericum
基本構造と構成 (Gray and Williams, 2021)
- 末梢神経系は、脳神経と脊髄神経から構成され、神経節、感覚神経、自律神経、神経叢を含む神経組織の集合体である。
- 中枢神経系と末梢神経系の区分は便宜的なものであり、実際には、ニューロンの突起が両者間を自由に通過している。
主な機能と役割 (Kandel et al., 2023)
- 感覚情報の伝達:外部環境からの刺激を中枢神経系に伝える
- 運動制御:中枢神経系からの指令を筋肉や臓器に伝達する
- 自律神経機能:内臓機能、血管運動、分泌などの無意識的な活動を制御する
- 反射活動:脊髄反射や自律神経反射などの素早い防御反応を可能にする
脳神経の特徴 (Standring, 2024)
- 脳神経は12対存在し、頭蓋底の孔を通って頭頚部に分布している(ただし、迷走神経は胸腹部にも分布する)。
- 脳神経の形成は多様であり、神経堤細胞やプラコード由来の細胞から発生する。
- 個々の脳神経は、感覚性、運動性、または混合性の機能を持ち、特定の感覚器官や筋肉を支配する。
- 脳神経の多くは、頭部と頚部の感覚・運動機能を制御し、味覚、嗅覚、視覚などの特殊感覚も担う。
- 脳神経の障害は、顔面麻痺、視力障害、嚥下困難など、特徴的な症状を引き起こす。
脊髄神経の特徴 (Drake et al., 2024)
- 脊髄神経は31対存在し、頸神経8対、胸神経12対、腰神経5対、仙骨神経5対、尾骨神経1対に分類される。
- 各脊髄神経は、前根(運動)と後根(感覚)を持ち、椎間孔で合一して混合神経となる。
- 脊髄神経の前根と後根は、それぞれ運動性と感覚性の神経線維を含み、神経機能の基本的な分離を示す。
- 脊髄神経は、その走行過程で神経叢(頸神経叢、腕神経叢、腰神経叢、仙骨神経叢)を形成し、複雑な神経支配パターンを構築する。