内包 Capsula interna
解剖学的構造
- 内包は、レンズ核(外側)と尾状核・視床(内側)の間に位置する、重要な白質線維束である (Nieuwenhuys et al., 2020)。
- 水平断面では、前脚、後脚、およびそれらを結ぶ内包膝に分かれ、下方は大脳脚へと移行する。
神経線維構成
- 視床から大脳皮質への上行性線維(視覚、聴覚、体性感覚放線など)を含む (Haines and Mihailoff, 2018)。
- 大脳皮質から視床、視床腹側部、中脳、後脳、脊髄への下降性線維を含む。
臨床的意義
- 内包(特に後脚)の損傷は、対側の片麻痺を引き起こす可能性がある (Waxman, 2023)。
- 血管障害(脳出血や脳梗塞)により、重度の運動障害や感覚障害が生じることがある。
主要な経路
- 前脚には前視床放線と前頭橋路、内包膝には皮質核路と皮質延髄路、後脚には皮質脊髄路、視床皮質路、後視床放線が含まれる (Mai and Paxinos, 2022)。
機能解剖学的な注意点
- 内包は、大脳皮質と下位中枢を結ぶ重要な伝導路であり、特に運動・感覚機能に関与する。
- 後脚は特に錐体路(皮質脊髄路)の通過部位として重要で、この部位の障害は重度の運動障害を引き起こす (Petrides, 2019)。
発生学的特徴
- 内包は発生過程で大脳基底核の分化に伴って形成される (ten Donkelaar et al., 2021)。
- 線維束は発達段階で徐々に組織化され、生後も髄鞘化が進行する。
画像診断上の特徴
- MRIのT2強調画像では低信号を示し、拡散テンソル画像(DTI)で線維走行の評価が可能 (Toga and Thompson, 2018)。