被殻 Putamen
解剖学的特徴
- レンズ核の外側部を形成し、淡蒼球外節および島皮質と、各種髄板により明確に区分される (Alexander and Crutcher, 1990)。
- 尾状核とともに線条体を構成しており、発生過程において、内包の発達により分離された構造である (Graybiel, 2000)。
機能と進化
- 運動の制御と学習機能において、重要な役割を担っている (Middleton and Strick, 2000)。
- 霊長類の進化過程において、高等になるほど体積が増大する傾向が認められる (Haber, 2003)。
神経回路
- 黒質緻密部からドーパミン作動性入力を、また、大脳皮質からグルタミン酸作動性入力を受ける (Parent and Hazrati, 1995)。
- 淡蒼球内節と黒質網様部へ、出力を投射している (DeLong and Wichmann, 2007)。
臨床的意義
- パーキンソン病では、黒質緻密部からのドーパミン入力の減少により、運動障害を引き起こす (Obeso et al., 2008)。
- ハンチントン病における特徴的な所見として、被殻の変性が認められる (Ross and Tabrizi, 2011)。
分子メカニズム
- GABAおよびアセチルコリン作動性の中型有棘神経細胞が主要な構成要素である (Kreitzer, 2009)。
- シナプス可塑性に関与する各種神経伝達物質受容体やイオンチャネルを発現している (Gerfen and Surmeier, 2011)。
発生学的特徴
- 終脳基板の外側神経隆起から発生し、胎生期に尾状核とともに分化する (Anderson et al., 1997)。
- 発生過程での神経細胞の移動と分化は、特異的な転写因子によって制御される (Marín and Rubenstein, 2001)。
画像診断