尾状核 Nucleus caudatus
解剖学的特徴
- 弓状の大きな灰白質であり、頭部、体部、尾部の3部位で構成される (Haber and Knutson, 2010)。
- 側脳室に沿って配置され、終脳の神経上皮から発生する。
神経伝達と機能
- 大脳皮質、視床、黒質からの入力を受け、淡蒼球と黒質へと出力する (Alexander et al., 2012)。
- GABAとドパミンが、主要な神経伝達物質として機能する。
- 運動制御、学習、記憶の機能に深く関与している (Grahn et al., 2009)。
臨床的意義
- パーキンソン病では、黒質-線条体系の障害により運動障害が発生する (Obeso et al., 2008)。
- ハンチントン病では、特徴的な尾状核の変性が認められる (Ross and Tabrizi, 2011)。
- 強迫性障害(OCD)などの精神疾患との関連性が示唆されている (Graybiel and Rauch, 2000)。
神経連絡
- 大脳皮質、特に前頭葉との双方向性の神経連絡を持つ (Parent and Hazrati, 1995)。
- 黒質緻密部からドパミン性入力を受ける。
- 視床の特定の核群との神経回路を形成している。
発生学的特徴
- 終脳基板の神経上皮から発生する (Jain et al., 2001)。
- 発生過程で内側隆起として形成される。
- 胎生期の神経細胞移動により最終的な構造を形成する。