嗅索 Tractus olfactorius
基本構造
- 嗅索は、前頭葉下面にある、嗅球と嗅三角を結ぶ神経線維束である (Standring, 2021)。
- 外側および内側嗅条に分かれ、それぞれ外側嗅回、内側嗅回という灰白質を持つ。
- 外側嗅条は、前帯状回の外側縁を通り、梨状葉皮質と扁桃体の皮質内側核に終止する (Mai et al., 2022)。
解剖学的位置
- 前頭葉底面の正中から外側に位置し、前頭葉眼窩面の下を走行する (Crossman and Neary, 2020)。
- 嗅球(前方)から嗅三角(後方)へと伸びている。
機能
- 嗅神経(第I脳神経)の二次神経路として機能する。
- 嗅球からの嗅覚情報を、高次の嗅覚中枢へと伝達する (Kandel et al., 2023)。
- 嗅覚情報処理の初期段階において、重要な役割を担う。
関連する構造物
- 嗅球 (Bulbus olfactorius) - 嗅覚情報の最初の中継点
- 嗅三角 (Trigonum olfactorium) - 嗅索の終点となる構造
- 扁桃体 (Corpus amygdaloideum) - 嗅覚情報の処理に関与する大脳辺縁系の一部
臨床的意義
- 嗅索の損傷は、嗅覚伝導路の障害を引き起こし、嗅覚障害の原因となることがある (Doty, 2019)。
- 頭部外傷や腫瘍により、嗅索が損傷を受けることがある。
- 神経変性疾患の初期症状として、嗅覚障害が現れることがある。