海馬指 Digitationes hippocampi
基本構造と位置
- 海馬の腹側部に見られる指状の隆起構造で、灰白質の折りたたみにより形成される (Duvernoy et al., 2013)。
- 側脳室下角の内側壁に位置し、数個の隆起が連続的に配列している。
解剖学的特徴
- 側脳室の下角内で観察可能であり、海馬体の外側表面に沿って規則的に配列している (Mai et al., 2015)。
- 表面は平滑で、脳脊髄液に接している。
臨床的意義
- 記憶形成や空間認知などの海馬機能に密接に関連している (Schultz and Engelhardt, 2014)。
- てんかんなどの神経疾患との関連性が示唆されている (Blümcke et al., 2013)。
- MRI診断における重要な解剖学的指標となっており、海馬萎縮の評価に有用である。
形態学的変異
- 個体差があり、指状突起の数や大きさは変動する (West and Gundersen, 2015)。
- 一般的に3〜5個の隆起が観察される。
発生学的側面
- 胎生期における海馬体の折りたたみ過程で形成される (Arnold and Trojanowski, 2016)。
- 生後の発達過程でも形態的変化が続く。
機能的関連性
- 海馬体の表面積を増大させ、神経回路の効率を高めている (Small et al., 2011)。
- 記憶の形成・固定化において重要な役割を果たす。