内錐体層(等皮質の)Lamina pyramidalis interna isocorticis [Lamina V]
構造と特徴
- 大脳皮質の第V層には、大型から中程度の錐体細胞、星状細胞、マルチノッチ細胞が存在する (DeFelipe and Fariñas, 1992)。
- 内バイラルジア線条を形成する水平線維が多数存在する (Szentágothai, 1978)。
- 運動野の中心前回には、特殊なベッツ細胞が存在し、錐体路線維の約3%を形成している (Meyer et al., 2010)。
機能的役割
- 大脳皮質からの主要な出力層として機能している (Harris and Shepherd, 2015)。
- 皮質脊髄路を介して、随意運動の制御を担当している (Lemon, 2008)。
- 視床、基底核、脳幹などの皮質下構造への投射を行っている (Jones, 2007)。
- 体性感覚情報と運動指令の統合に重要な役割を果たしている (Mountcastle, 1997)。
- 他の皮質領域との情報交換を行う投射ニューロンを含んでいる (Thomson and Lamy, 2007)。
臨床的意義
- 内錐体層の障害は、運動機能の重大な障害につながる可能性がある (Ward, 2017)。
- 脳卒中や外傷性脳損傷による内錐体層の損傷は、運動麻痺を引き起こす主要な原因となる (Carmichael, 2016)。
- 神経変性疾患では、この層のニューロンが選択的に影響を受けることがある (Braak and Braak, 1991)。
発生学的特徴
- 内錐体層は胎生期の後期に形成され、出生後も成熟を続ける (Rakic, 2009)。
- 発達過程で適切な神経回路の形成が重要であり、この過程の障害は様々な神経発達障害と関連する (Sur and Rubenstein, 2005)。
研究と最新の知見
- 新しい画像技術により、内錐体層のニューロンの詳細な構造と連絡が解明されつつある (Larkum et al., 2018)。