内顆粒層[第IV層](等皮質の)Lamina granularis interna isocorticis [Lamina IV]
基本構造と特徴
- 大脳皮質等皮質の第IV層であり、密に集まった星状膠細胞で構成されている (Peters and Jones, 1984)。
- 外バイラルジア線条と呼ばれる水平な線維が多数存在している (Szentágothai, 1975)。
- 視床の特殊核からの視床皮質線維が終末する主要な層である (Jones, 2007)。
細胞構成と機能
- 小型の顆粒細胞(星状細胞)が密集しており、感覚情報の初期処理を担っている (Harris and Mrsic-Flogel, 2013)。
- 上層と下層の間の情報伝達を仲介し、局所回路の形成において重要な役割を果たしている (Douglas and Martin, 2004)。
領域による特徴
- 一次視覚野(ブロードマン17野)では、特に厚く発達している (Hubel and Wiesel, 1972)。
- 運動野では、比較的薄く、不明瞭な場合がある (Mountcastle, 1997)。
- 感覚野では、中程度の発達を示している (Kaas, 2012)。
病理学的意義
- 皮質の層構造の異常は、様々な神経発達障害や神経変性疾患と関連している (Buxhoeveden and Casanova, 2002)。
- 内顆粒層の細胞密度の変化は、てんかんや自閉症スペクトラム障害などの病態に関与する可能性がある (Geschwind and Levitt, 2007)。
- 神経変性疾患において、この層の選択的な脆弱性が報告されている (Terry et al., 1991)。
発生学的特徴
- 胎生期の神経細胞移動により形成され、生後の発達過程で成熟する (Rakic, 2009)。
- シナプス形成と刈り込みが活発に行われ、神経回路の微細構造が確立される (Huttenlocher and Dabholkar, 1997)。
- 発達障害における異常な神経回路形成の標的となることがある (Levitt, 2003)。