分子層[第I層](等皮質の)Lamina molecularis isocorticis [Lamina I]
構造的特徴
- 等皮質の最表層に位置する層である (DeFelipe, 2011)。
- 接線方向の線維網が主要構成要素である (Garcia-Marin et al., 2010)。
- 錐体細胞と紡錘形細胞の頂上樹状突起を含む (Spruston, 2008)。
- カハールの水平細胞が散在し、神経細胞は少なく、主に膠細胞で構成される (Marín-Padilla, 2015)。
機能的特徴
- 星状細胞、マルチノッチ細胞の軸索、視床からの求心性線維、連合線維、および交連線維を含む (Jones, 2009)。
- 多数のシナプス結合が存在する (Petilla Interneuron Nomenclature Group et al., 2008)。
- 皮質内の神経回路の修飾と調節を行い、異なる皮質領域間の情報統合を担う (Mountcastle, 2003)。
- 皮質の可塑性と学習過程に関与しており、その異常は様々な神経疾患や精神疾患と関連している (Feldman, 2009)。
臨床的意義
- 神経変性疾患において、この層での神経細胞の変化や異常が早期に観察される (Braak and Braak, 1991)。
- てんかんなどの神経疾患では、分子層のシナプス結合の異常が発作の発生に関与する (Avoli et al., 2005)。
- 発達障害においては、分子層の形成異常が認められることがある (Geschwind and Levitt, 2007)。
発生学的特徴
- 胎生期の辺縁層から発達する (Rakic, 2009)。
- 神経細胞の移動が完了した後に形成される (Nadarajah and Parnavelas, 2002)。
- 生後の発達過程で、シナプスの形成と刈り込みが活発に行われる (Huttenlocher and Dabholkar, 1997)。
解剖学的位置関係