透明中隔 Septum pellucidum
脳の断面(模式図を含む)

MRI_06にほぼ対応する外眼角耳孔面に水平な断面

嗅索後端部の高さAに対応する前頭断面

前交連の高さBに対応する前頭断面

J0833 (脳幹:脳の正中断面を左側からの図)

J0900 (頭部正中断面のクモ膜下腔、左半分:右方からの図)
1. 解剖学的構造
1.1 基本構造と構成
- 透明中隔は、左右の側脳室前角を分離する一対の薄い板状構造である (Snell, 2019)。
- 2枚の薄板の間には透明中隔腔 (cavum septi pellucidi) と呼ばれる狭い潜在的空間が存在する (Standring, 2020)。
- 各薄板は神経膠細胞と神経線維から構成され、灰白質と白質の両方を含む (Gray and Carter, 2021)。
- 成人では透明中隔腔が閉鎖し、左右の板が癒合・密着することが多いが、約15-40%の成人では腔が残存する (Moore et al., 2020)。
1.2 位置関係と境界
- 前方は脳梁膝部 (genu of corpus callosum) に接し、後方は脳弓体部 (body of fornix) によって境界される (Gray and Carter, 2021)。
- 上方は脳梁体部の下面に接着し、下方は前交連 (anterior commissure) の高さまで伸展する (Standring, 2020)。
- 外側面は両側の側脳室前角および中心部の内側壁を形成する (Snell, 2019)。
- 垂直方向の長さは約4-5 cm、前後方向の長さは約2-3 cm、厚さは約1-2 mmである (Osborn, 2022)。
1.3 発生学的起源
- 発生学的には終脳胞 (telencephalic vesicle) の内側面から形成される痕跡的な大脳皮質構造である (Moore et al., 2020)。
- 胎生12週頃から形成が始まり、脳梁と脳弓の間の空間を埋めるように発達する (Sadler, 2023)。
- 胎生期から乳児期にかけて透明中隔腔は開存しており、生後3-6ヶ月で閉鎖が始まる (Sadler, 2023)。
- 透明中隔の正常な発達は、脳梁と脳弓の適切な形成に依存している (Moore et al., 2020)。
1.4 微細構造と組織学
- 神経膠細胞、主にアストロサイトと希突起膠細胞から構成される (Standring, 2020)。