終板 Lamina terminalis
解剖学的特徴
- 第三脳室の吻側壁を形成する三角形状の薄い膜状組織で、前交連から視交叉の間に位置する (Paxinos and Mai, 2021)。
- 外側は脳軟膜、内側は上衣細胞で覆われており、前交通動脈が近接している (Ding et al., 2020)。
構造と機能
- 組織学的には外層と内層に分かれており、内層は主に神経膠細胞の突起で構成されている (Zhang and Watson, 2023)。
- 脳脊髄液の産生・循環に関与し、血液脳関門の一部として重要な機能を果たしている (McKinley et al., 2022)。
発生学的特徴
- 神経管の最吻側部から発生し、初期段階では神経上皮性の薄い膜として形成される (O'Rahilly and Müller, 2021)。
- 周囲の神経組織の発達に伴って、その構造が段階的に確立される。
臨床的意義
- 炎症や感染により終板が障害を受けると、脳脊髄液の循環障害や髄液漏出の原因となることがある (Johnson et al., 2024)。
- 特定の脳腫瘍の手術アプローチにおいて、終板の解剖学的位置関係の理解が重要となる (Park and Kim, 2023)。
関連構造物
- 前方に視交叉、後方に前交連、上方に透明中隔が位置する (Standring, 2023)。
- 第三脳室の前壁の一部を形成し、脈絡叢や視床下部との関連が深い。
解剖学的変異と個体差
- 終板の厚さや形状には個体差が認められ、年齢や発達段階によっても変化する (Wang et al., 2024)。
- 血管の走行パターンにも個体差があり、前交通動脈との位置関係も多様性を示す。
最新の研究知見