内側縦条 Stria longitudinalis medialis
基本構造
- 脳梁幹の表面で、正中線の両側に沿って前後に走る細長い縦条であり、灰白質を含む (Nieuwenhuys et al., 2020)。
- 外側縦条とともに、脳梁幹背面の灰白質層と海馬の痕跡を形成する。
- Lancisiの条としても知られる。
解剖学的特徴
- 脳梁吻から脳梁膨大部まで縦方向に走行し、正中線の両側に対称的に存在する (Mai and Paxinos, 2022)。
- 脳梁を背側から観察可能である。
機能と発生
- 嗅覚系の一部として、辺縁系との連絡や情動行動、記憶形成に関与している (Swanson, 2015)。
- 系統発生学的には、古皮質の痕跡として保存された構造である。
解剖学的関係
- 外側縦条(Stria longitudinalis lateralis)と並行して走行する。
- 脳梁膝部では歯状回に連続し、脳梁膨大部では歯状回と海馬采に連続する (Duvernoy, 2013)。
臨床的意義
- 大脳辺縁系の一部として、情動や記憶の処理に関与する神経回路網を形成する (Catani and Thiebaut de Schotten, 2012)。
- 進化的に保存された構造であり、比較解剖学的研究において重要な指標となる。
- 神経画像診断において、辺縁系の評価の際の解剖学的指標として利用される。
- 脳梁の発達異常や変性疾患の評価において、その形態変化が診断的意義を持つ場合がある。
参考文献