脳梁幹 Truncus corporis callosi
構造的特徴
- 脳梁膨大と脳梁膝の間に位置する弓状の部分で、脳梁の中央部を形成する (Raybaud, 2010)。
- 横断面では楕円形であり、白質線維の密な束から構成され、脳梁全長の約60%を占めている (Tovar-Moll et al., 2014)。
- 左右の大脳半球を連絡する重要な神経線維を含んでいる。
機能
- 大脳半球間の高次機能の統合を担当している (Paul et al., 2007)。
- 感覚情報と運動情報の左右半球間の伝達を効率的に実行する。
- 認知機能と学習過程において、中心的な役割を果たしている (Fitsiori et al., 2011)。
臨床的意義
- 脳梁幹の損傷は、離断症候群(分離脳症候群)を引き起こす可能性がある (Berlucchi et al., 2015)。
- 左右大脳半球間の情報伝達障害により、運動協調や認知機能に影響を及ぼすことがある。
- MRIやDTIなどの画像診断で評価が可能であり、神経学的診断に重要である (Witelson, 1989)。
発生学的特徴
- 胎生期に発達し、生後も髄鞘化が継続する重要な神経構造である (Kier and Truwit, 1996)。
- 発達過程での異常は、様々な神経発達障害と関連する可能性がある。
関連する解剖学的構造
- 第三脳室の上部に位置し、側脳室の内側壁の一部を形成している (Snell, 2010)。
- 前方の脳梁膝と後方の脳梁膨大に連続している。
- 脳梁溝と帯状回によって上方を境界されている。