海馬傍回 Gyrus parahippocampalis
解剖学的特徴
- 大脳の内側側頭葉に位置し、海馬溝の下方で側副溝との間に大きな回を形成する (Duvernoy et al., 2013)。
- 皮質構造は、海馬台前部から歯状回に向かって6層から3層へと変化する (Insausti and Amaral, 2012)。
- 海馬体皮質は、多形細胞層、錐体細胞層、分子層の3層構造を持つ。
機能と臨床的意義
- 記憶形成と保持、特にエピソード記憶の形成に重要な役割を果たす (Squire and Zola-Morgan, 1991)。
- 空間ナビゲーションと場所の認識に必須である (Aguirre et al., 1996)。
- アルツハイマー病での早期変性部位の一つである (Braak and Braak, 1991)。
周辺構造との関連
- 海馬体系(海馬台、海馬、歯状回)と機能的に連携している (Van Hoesen, 1995)。
- 扁桃体との情動処理における相互作用を持つ (Stefanacci et al., 1996)。
その他の重要な点
- 海馬傍回は内嗅皮質の一部を含み、嗅覚情報の処理にも関与している (Price, 2003)。
- 側頭葉てんかんの発生源となることがある (Spencer and Spencer, 1994)。
- 海馬傍回の両側性損傷は、地誌的記憶障害を引き起こす可能性がある (Epstein et al., 2001)。
- 発生学的には、大脳辺縁系の一部として発達する。
血管支配
- 後大脳動脈の枝である海馬傍回動脈により血液供給を受ける (Erdem et al., 1993)。
- 静脈還流は主に基底静脈(ロザンタール静脈)を介して行われる。