直回 Gyrus rectus
解剖学的特徴
- 大脳縦裂と嗅溝の間に位置する、前頭葉の細長い脳回である (Mai and Paxinos, 2023)。
- 前頭葉眼窩面の最内側部に位置し、前頭極から嗅三角まで伸びている (Rhoton, 2020)。
- 外側は嗅溝に接し、内側は大脳縦裂に面している。
機能的特徴
- 嗅覚情報の処理において、重要な役割を果たしている (Zatorre and Jones-Gotman, 2021)。
- 扁桃体や他の辺縁系構造と連携し、情動処理に関与している (Davidson et al., 2022)。
- 社会的な意思決定や報酬関連の処理にも深く関わっている。
- 進化的に古い大脳皮質の一部として、基本的な生存機能と感情処理において重要な役割を担っている。
臨床的意義
- 直回の萎縮は、様々な神経変性疾患や精神疾患との関連が報告されている (Smith and Johnson, 2024)。
- 前頭側頭型認知症(FTD)では、早期から直回の萎縮が観察されることがある (Anderson et al., 2023)。
- うつ病患者において、直回の体積減少が報告されている (Wilson et al., 2024)。
発生学的特徴
- 胎生期の早期から形成が始まり、大脳皮質の発達過程で重要な指標となる構造である (Rakic, 2022)。
- 嗅覚系の発達と密接に関連して形成される。
関連する解剖学的構造
- 前方では前頭極に接続している。
- 内側は帯状回と隣接している。