


眼窩回は前頭葉の眼窩面(腹側面)に位置し、内側は嗅溝(olfactory sulcus)、外側は外側溝(lateral sulcus)によって境界づけられる(Mai and Paxinos, 2011)。この領域は嗅溝と眼窩溝(orbital sulci)の間に位置する複数の不規則な小回で構成される(Uylings et al., 2010)。
眼窩回は、H字型または#型の眼窩溝によって区画される(Chi et al., 1977)。Chiavaras and Petrides (2000)の分類によれば、眼窩回は以下の4つの主要な回に分類される:
眼窩溝のパターンには顕著な個人差が存在する(Chi et al., 1977)。回の数や配置にも個体差が認められ、左右半球で非対称性を示すことがある。これらの変異は、機能的な個人差と関連している可能性が示唆されている(Chiavaras and Petrides, 2000)。
眼窩回は大脳皮質の発生過程において、前頭葉の腹側部から形成される(Armstrong et al., 1995)。胎生期後期に特徴的な溝パターンが形成され、この時期の回形成は個体の神経発達の指標となる(Chi et al., 1977)。ヒト脳の進化的拡大において、眼窩前頭皮質は霊長類で特に発達した領域であり、高次認知機能の進化に重要な役割を果たしてきた(Uylings et al., 2010)。
眼窩前頭皮質は情動の処理と意思決定に中心的な役割を果たす(Kringelbach and Rolls, 2004)。この領域は感覚情報と情動的価値を統合し、行動選択に必要な評価を行う。特に、報酬と罰の抽象的表現を処理し(O'Doherty et al., 2001)、報酬系の制御を担っている(Kringelbach, 2005)。
眼窩前頭皮質の異なる亜領域は、社会的行動の調節に重要な役割を果たす(Rudebeck et al., 2008)。この領域の損傷は、社会的判断や対人関係の障害を引き起こす可能性がある。