大脳縦裂 Fissura longitudinalis cerebri

嗅索後端部の高さAに対応する前頭断面

前交連の高さBに対応する前頭断面

扁桃体の高さDに対応する前頭断面

海馬が見える高さEに対応する前頭断面

J0848 (大脳半球:上面)

J0850 (大脳底面:下方からの図)

J0901 (頭蓋骨、脳膜:脳を通る前頭断面)
解剖学的構造
基本構造
- 大脳縦裂は、左右の大脳半球を分ける深い縦方向の裂溝であり、矢状面に沿って走行する正中構造である (Standring et al., 2020)。
- 前方は前頭葉間から始まり、後方は後頭葉間に至るまで大脳半球全長にわたって存在する (Ten Donkelaar et al., 2018)。
- 大脳半球間裂 (Fissura interhemisphaerica) とも呼ばれ、脳の左右対称性を示す重要な解剖学的指標となっている (Mai and Paxinos, 2021)。
深さと範囲
- 前頭部と後頭部では大脳半球を完全に分離するが、中心部では脳梁 (Corpus callosum) までしか達していない (Mai and Paxinos, 2021)。
- 上端は頭蓋冠に接し、下端は脳梁に達する深さを持つ (Rhoton, 2002)。
- 左右の大脳半球を部分的に分離するものの、脳梁による連絡が保たれているため完全な分離ではない (Standring et al., 2020)。
関連する解剖学的構造
- 大脳鎌 (Falx cerebri) は、硬膜から形成される鎌状の折り返し構造で、大脳縦裂内に陥入し、左右の大脳半球間に位置する (Standring et al., 2020)。
- 脳梁 (Corpus callosum) は、大脳縦裂の深部に位置し、左右の大脳半球を連絡する最大の交連線維束である (Raybaud, 2010)。
- 前大脳動脈 (Arteria cerebri anterior) は、大脳縦裂内を前方から後方へ走行する主要な血管であり、大脳半球内側面への血液供給を担う (Rhoton, 2002)。
- 上矢状静脈洞 (Sinus sagittalis superior) は、大脳鎌の上縁に沿って大脳縦裂の上方を走行し、脳からの静脈血を集める (Rhoton, 2002)。
発生学的観点
- 大脳縦裂は、胎児期の大脳半球の発達過程において形成される構造である (Sadler, 2018)。
- 発生過程における大脳半球の側方成長と中央部での部分的な融合の結果として生じる (Budday et al., 2015)。
- 大脳の左右への分化における重要な解剖学的指標であり、脳の対称性発達を示す (Sadler, 2018)。