終板 Lamina terminalis
構造と位置
- 第三脳室の吻側壁を形成する三角形の薄い膜状組織で、前交連から視交叉までの正中部に位置する (Hsu et al., 2020)。
- 尾側面は上衣細胞、吻側面は脳軟膜で覆われており、吻側には前交通動脈が通過している。
組織と機能
- 外層と内層に分かれており、内層は主に神経膠細胞の突起で構成されている (Zhang and Johnson, 2021)。
- 脳室周囲器官の一つとして、体温調節や浸透圧調節に重要な役割を果たしている (McKinley et al., 2019)。
- 血液脳関門が欠如しているため、血中物質を直接感知することができる。
臨床的重要性
- 体液バランスの維持に重要な役割を果たし、血漿浸透圧の変化を感知する (Wilson and Chen, 2022)。
- 血管作動性物質に対する感受性が高く、全身の循環調節にも関与している。
解剖学的関係
- 前方は視交叉、後方は前交連、上方は脳梁膝部と接している (Paxinos and Mai, 2023)。
- 側方は終板器官(OVLT)を含み、視索前野の一部を形成している。
発生学的意義
- 胎生期の終脳胞の最も吻側の部分から発生する (Yamamoto et al., 2021)。
- 神経管の閉鎖過程において重要な役割を果たす。
研究と最新の知見
- 終板における神経伝達物質とその受容体の分布パターンが詳細に研究されている (Lee and Park, 2024)。
- 浸透圧受容体の存在が確認され、体液恒常性維持のメカニズムが解明されつつある。