視神経交叉 Chiasma opticum
基本構造と位置
- 視床下部の漏斗前方に位置する扁平な線維板であり、視神経線維の交叉点である (Standring et al., 2021)。
- 第三脳室底部を形成し、トルコ鞍の鞍隔膜上に位置している。
解剖学的機能
- 網膜の鼻側半分の線維は対側へ交叉し、側頭半分の線維は同側を通過する (Netter, 2019)。
- 視交叉の背側から視索として両側に広がっている。
臨床的重要性
- 下垂体腫瘍による圧迫で、両耳側半盲を引き起こす可能性がある (Adams et al., 2020)。
- 視交叉症候群は、視野欠損パターンから病変位置を特定する重要な指標となる。
発生学
- 前脳胞から発生し、胎生期早期に形成される (Sadler, 2022)。
- 発生過程において、視神経線維が規則的に配列され、視覚情報伝達経路が確立される。
解剖学的関係
- 上方には第三脳室前部が位置する。
- 下方には蝶形骨体部と下垂体窩が存在する。
- 前方には前頭葉眼窩面が隣接する。
- 後方には漏斗と視床下部前部が続く。
血管分布
- 上下の下垂体動脈と内頸動脈からの分枝により栄養される (Drake et al., 2020)。