菱形窩 Fossa rhomboidea
基本構造
- 菱形窩は、第四脳室底面を形成する脳幹背側部の菱形の凹みであり、正中溝により左右に分けられる。
- 正中溝および境界溝により、内側部と外側部に区分される。
主要な構成要素
- 上部には、内側隆起と前庭神経野が存在し、顔面神経丘と青斑を含む。
- 下部には、舌下神経核(内側)と迷走神経三角(外側)が位置する。
- 第四脳室髄条により上下に区分され、上窩と下窩の凹みを有する。
解剖学的特徴
- 日本人の研究により、髄条は3~11条存在し、調査した30例の脳すべてで確認された。
- 菱形窩の大きさは、矢状径が平均34.7mm(男性35.5mm、女性33.9mm)、横径が平均22.2mm(男性22.5mm、女性21.9mm)である。

図421(菱形窩の表面像)

図422(脳幹、四丘体付近、菱形窩)
菱形窩は菱形を形成し、正中溝によって左右に分割され、境界溝によって内外の領域に区切られます。正中口から外側へは第四脳室髄条が走り、これにより菱形窩は上下にさらに分けられます。上部には、境界溝の内外に内側隆起と前庭神経野が存在します。内側隆起の中央には顔面神経丘があり、そこには顔面神経膝とその腹側にある外転神経核の二つの部分があります。前庭神経野は前庭神経核の位置に相当します。前庭神経野の外側にある凹みは上窩と呼ばれ、これより鼻側には青斑が帯状を形成して伸びています。青斑核はその内部に存在します。菱形窩の下部の内側には舌下神経核があり、その外側には迷走神経三角(灰白翼)があり、迷走神経背側核が存在します。その鼻側端の窩は下窩と呼ばれます。

J0814 (脊髄:後方からの図)

J0836 (菱形窩:後方からの図)

J0837 (菱形窩:後方からの模式図)