前庭神経上核 Nucleus vestibularis superior
1. 解剖学的位置と構造
- 前庭神経外側核の上方背側に位置し、中央に大型細胞、周囲に小型細胞が配置される構造を持つ (Büttner-Ennever, 2014)。
- 脳幹に位置し、平衡感覚と空間方向の情報処理を担う重要な核である (Goldberg et al., 2012)。
2. 生理学的機能
- 前庭神経からの入力を受け、眼球運動の制御と姿勢維持に関与している (Angelaki and Cullen, 2008)。
- 小脳および他の前庭神経核との相互連絡を通じて、平衡感覚の統合と前庭眼反射の調節を行っている (Highstein and Holstein, 2006)。
3. 臨床的重要性
- 障害が生じた場合、めまい、平衡障害、眼振などの症状が出現する可能性がある (Brandt and Dieterich, 2017)。
- 前庭リハビリテーションの重要な標的となり、平衡機能の回復に深く関与している (Cohen, 2013)。
4. 歴史的背景
- 1893年からペテルスブルグ大学教授を務めたベヒテレフにより発見され、その功績を称えて彼の名が付けられた (Akert and Hammond, 1962)。
5. 関連研究と最新の知見
- 前庭神経上核は、空間認知と視覚-前庭統合において重要な役割を果たすことが近年の研究で明らかになっている (Cullen, 2019)。
- 神経可塑性の研究により、前庭神経上核のニューロンが環境変化に適応して再構成される能力を持つことが示されている (Dutia, 2010)。
6. 神経回路網における役割
- 前庭小脳回路の重要な中継点として機能し、平衡感覚の微調整に関与している (McCall and Yates, 2011)。
- 脳幹網様体や視床との神経連絡を通じて、姿勢制御システムの統合に貢献している (Barmack, 2003)。
7. 発生学的特徴
- 神経管の菱脳領域から発生し、胎生期の早期から前庭系の発達に重要な役割を果たす (Uchino and Kushiro, 2011)。