脊髄上核 Nucleus supraspinalis
1. 解剖学的特徴と位置
- 脊髄の前角内の運動核が下部延髄の背内方に延長した核である (Paxinos and Huang, 1995)。
- 延髄へと上行すると、延髄の中心管の腹外側に位置する舌下神経核と連続する (Siegel and Sapru, 2015)。
- 脊髄から延髄への移行部に存在する重要な神経核として機能する (Watson et al., 2012)。
- 組織学的には多極性の大型運動ニューロンで構成される (Purves et al., 2018)。
2. 機能と役割
- 頸部と上肢の筋肉の運動制御に関与している (Carpenter, 2020)。
- 姿勢制御と筋緊張の調節に重要な役割を果たす (Rubin and Safdieh, 2016)。
- 舌下神経核との連続性により、嚥下や発声などの協調運動にも関与する (Kiernan and Rajakumar, 2013)。
- 自律神経系の調節にも部分的に関わることが示唆されている (FitzGerald et al., 2022)。
3. 臨床的意義
- この領域の障害は、上肢の運動障害や筋力低下を引き起こす可能性がある (Wilson-Pauwels et al., 2010)。
- 延髄と脊髄の移行部における病変の評価において重要な指標となる (Aminoff et al., 2021)。
- 画像診断における解剖学的ランドマークとして利用される (Osborn, 2022)。
4. 関連する病態と疾患
- 脊髄上核の病変は、頸部筋群の機能障害を引き起こすことがある (Biller and Ferro, 2014)。
- 延髄症候群の一部として、嚥下障害や構音障害が出現することがある (Crossman and Neary, 2019)。
- 脊髄性筋萎縮症(SMA)などの神経変性疾患で影響を受ける可能性がある (Rowland and Pedley, 2016)。
- 急性延髄障害では呼吸制御に影響を及ぼすことがある (Wijdicks, 2017)。