脊髄上核 Nucleus supraspinalis
解剖学的特徴と位置
- 脊髄の前角内の運動核が下部延髄の背内方に延長した核である (Paxinos & Huang, 1995)。
- 延髄へと上行すると、延髄の中心管の腹外側に位置する舌下神経核と連続する。
- 脊髄から延髄への移行部に存在する重要な神経核として機能する (Watson et al., 2012)。
機能と役割
- 頸部と上肢の筋肉の運動制御に関与している (Carpenter, 2020)。
- 姿勢制御と筋緊張の調節に重要な役割を果たす。
- 舌下神経核との連続性により、嚥下や発声などの協調運動にも関与する (Kiernan & Rajakumar, 2013)。
臨床的意義
- この領域の障害は、上肢の運動障害や筋力低下を引き起こす可能性がある (Wilson-Pauwels et al., 2010)。
- 延髄と脊髄の移行部における病変の評価において重要な指標となる。
関連する病態と疾患
- 脊髄上核の病変は、頸部筋群の機能障害を引き起こすことがある。
- 延髄症候群の一部として、嚥下障害や構音障害が出現することがある (Crossman & Neary, 2019)。
- 脊髄性筋萎縮症(SMA)などの神経変性疾患で影響を受ける可能性がある。
研究と最新の知見
- 神経再生医療における重要な研究対象の一つとなっている (Standring, 2021)。
- 神経可塑性と機能回復のメカニズム解明に貢献している。
- 画像診断技術の進歩により、より詳細な解剖学的評価が可能になってきている。