蝸牛神経前核 Nucleus cochlearis anterior
解剖学的位置と構造
- 下小脳脚の腹外側に位置し、蝸牛神経根の外側に存在する (Ryugo and Parks, 2003)。
- 前腹側核と後腹側核の2つの亜核から構成される(蝸牛神経腹側核とも呼ばれる)。
機能的特徴
- 音の高さに対応して連続的な音階的配列を示す (Young and Oertel, 2004)。
- 蝸牛神経の線維が終止し、音の高さに基づいて情報を処理する。
- 高周波に応答する細胞は背側に、低周波に応答する細胞は腹側に配置される (Cant and Benson, 2003)。
- 聴覚情報の初期処理を担う重要な中継核である。
神経経路と連絡
- 蝸牛神経前核からの二次ニューロンは主に対側の台形体核および上オリーブ核に投射する (Grothe et al., 2010)。
- 一部の線維は同側の上オリーブ核にも投射し、音源定位に重要な役割を果たす。
- 外側毛帯を介して下丘に至る上行性の聴覚伝導路を形成する。
臨床的意義
- この核の障害により、音の認識や音源定位の障害が生じる可能性がある (Moore, 2018)。
- 聴覚情報処理の初期段階で重要な役割を果たすため、聴覚障害の診断において重要な指標となる。
関連する解剖学的構造物
- 延髄の背外側部に位置し、下小脳脚と近接している。
- 第8脳神経(内耳神経)の蝸牛部の線維を受け取る (Webster et al., 2009)。
- 台形体および上オリーブ核と密接な神経連絡を持つ。