蝸牛神経後核 Nucleus cochlearis posterior
基本情報
- 蝸牛神経後核は、聴覚系の重要な核の一つであり、聴覚信号の初期処理を担当している (Ryugo and Parks, 2003)。
解剖学的特徴
- 腹側核よりも下方に位置し、下小脳脚の背外側部に接している (Hackney et al., 1990)。
- 菱形窩の聴結節に位置する。
- 多くの動物種で層構造が認められ、ヒトでもその特徴が部分的に存在する (Osen, 1969)。
機能と神経回路
- 蝸牛神経の一次求心性線維からの入力を受け、音の周波数や強度の情報を処理する (Young and Oertel, 2004)。
- 主に台形体を経由して、同側および対側の上オリーブ核へ投射する (Smith and Rhode, 1989)。
- 複雑な音の処理や音源定位に関与している (Nelken and Young, 1994)。
臨床的意義
- この核の障害は、聴覚情報の初期処理に影響を与え、音の認識や定位に問題を引き起こす可能性がある (Møller, 2006)。
- 聴覚路における重要な中継核として、聴覚検査や聴覚障害の診断に関連している。
関連する神経核
- 蝸牛神経腹側核(Nucleus cochlearis ventralis)と機能的に密接な関係を持つ (Cant and Benson, 2003)。
- 上オリーブ核(Nucleus olivaris superior)へ投射し、音源定位の神経回路を形成する。
- 下丘(Colliculus inferior)への投射を通じて、聴覚情報の上行性伝導に寄与する。
発生学的特徴
- 後脳(菱脳)由来の構造物である (Willott, 2001)。