楔状束 Fasciculus cuneatus
基本情報
- 楔状束(Fasciculus cuneatus)は、カール・フリードリヒ・ブルダッハにちなんでブルダッハ束とも呼ばれる (Carpenter and Sutin, 1983)。
- 第六胸髄レベルから出現し、上位6胸神経および前頚神経の後根長上行枝を含む (Brodal, 2010)。
解剖学的特徴
- 後索の外側部に位置し、体の上半分からの神経線維を伝導する (Martin, 2012)。
- 後索系の一部として、薄束(Goll束)とともに脊髄後索を上行する。
- 延髄の楔状束核において終止する (Standring, 2015)。
機能
- 触覚および深部感覚の感覚情報を伝達する重要な神経経路である (Kandel et al., 2013)。
臨床的意義
- 脊髄障害や末梢神経障害の診断において重要な指標となる (Purves et al., 2018)。
- 楔状束の損傷は、上肢の触覚や固有感覚の障害を引き起こす可能性がある。
関連する神経経路
- 後索-内側毛帯路の一部を形成し、大脳皮質感覚野へ情報を伝達する (Crossman and Neary, 2014)。
- 楔状束核からの二次ニューロンは、内側毛帯を形成して対側の視床へ投射する。
発生学的特徴
- 後索は胎生期に形成され、発達とともに機能的な成熟を遂げる (Sanes et al., 2019)。
- 髄鞘化は生後に進行し、感覚情報の伝達効率を向上させる。
参考文献