延髄 Medula oblongata
基本構造と位置
- 延髄は、脳幹の最下部に位置し、脊髄と直接連続する脳の一部である (Carpenter, 2020)。
- 錐体交叉の下部境界から橋まで延びており、その膨らみの形状から「球」とも呼ばれる (Gray and Williams, 2021)。
主な神経核と伝導路
- 延髄には様々な重要な神経核が存在し、以下のものが含まれる:舌下神経核、迷走神経背側核、疑核、孤束核など (Purves et al., 2019)。
- 重要な伝導路としては、錐体路、内側毛帯、三叉神経脊髄路などが通過している (Standring, 2020)。
- オリーブ核とその副核群は、小脳との連絡や運動調節に関与している (Kandel et al., 2021)。
機能と重要性
- 第8~12脳神経の諸核、呼吸中枢、循環中枢を含み、生命維持に不可欠な役割を担う (Bear et al., 2020)。
- 外部表面には脊髄の溝と連続する溝があり、内部には多様な神経核と伝導路が存在する。
- この部位が圧迫(ヘルニアや頭蓋内圧亢進)を受けると、昏睡や死に至る可能性がある (Ropper et al., 2019)。
血管支配
- 延髄は、前脊髄動脈、後下小脳動脈、椎骨動脈の分枝から血液供給を受ける (Netter, 2019)。
- 延髄の血管分布には、背側延髄枝、外側延髄枝、正中延髄枝などの動脈分枝がある。
臨床的意義
- 延髄の損傷は、呼吸・循環機能の障害、嚥下障害、発声障害などの重篤な症状を引き起こす可能性がある (Adams and Victor, 2020)。
- 延髄症候群(Wallenberg症候群など)は、延髄の特定の部位の血管障害により引き起こされる。
参考文献
- Adams, R.D. and Victor, M. (2020) Principles of Neurology, 12th ed. McGraw-Hill.