間脳 Diencephalon
基本構造と位置
- 間脳は中脳の前方に位置し、第三脳室を囲む重要な脳領域である (Nieuwenhuys et al., 2020)。
- 主要な構成部分は背側視床、視床下部、腹側視床、および視床上部からなる。
- 背側視床が最大の部分を占め、左右は視床間橋で連結している。
発生と構成要素
- 胎生第4週末から第5週にかけて間脳胞から発生する (Stiles and Jernigan, 2010)。
- 視床上部には松果体、手綱、手綱三角が存在する(ヒトでは退化的)。
- 視床下部には約8個の神経核が形成される。
解剖学的特徴
- 間脳室は発育に伴い狭小化し、最終的に第三脳室となる (Mai and Paxinos, 2022)。
- 視床は多数の核の集合体であり、大脳皮質と複雑な神経連絡を形成する。
機能的役割
- 視床は感覚情報の中継および統合の中心的役割を担う (Jones, 2007)。
- 視床下部は自律神経系、内分泌系、体温調節の重要な制御中枢である。
- 松果体は概日リズムの調節に関与する。
臨床的意義
- 視床の障害により感覚障害や運動障害が生じうる (Schmahmann, 2019)。
- 視床下部の異常は体温調節障害、睡眠障害、内分泌異常などを引き起こす。
- 間脳の血管障害により意識障害や認知機能障害が生じることがある。