後脳 Metencephalon
定義と構造
- 後脳(Metencephalon)は、小脳と橋を含む脳の領域である。この用語は、"meta"(後ろ)と"encephalon"(脳)という語から構成される。
主要構成要素
- 小脳:後頭葉の下方に位置し、表面には特徴的な多数のヒダを有する。平衡感覚の維持、筋緊張の調節、そして筋活動の協調を担っている。
- 橋:中脳と延髄の間に位置し、第四脳室の反対側には小脳が存在する。多数の伝導路および第5~7脳神経核を含んでいる。
発生と進化
- 後脳は、発生学的には菱脳胞から発生し、胎生期における神経管の分化過程で形成される。
- 系統発生学的には、脊椎動物の進化の過程において、運動制御と平衡感覚の向上に伴って発達してきた。
臨床的意義
- 小脳性運動失調:小脳の障害により、運動の協調性が失われ、歩行障害や言語障害が生じる。
- 橋病変:橋の障害により、顔面神経麻痺、感覚障害、眼球運動障害などが生じうる。

J0829 (10.4mm頂殿長の人間の胎児の脳、右半分:左方からの図)

J0830 (13.8mm頂殿長の人間の胎児の脳、右半分:左方からの図)

J0831 (46.5mm頂殿長の人間の胎児の脳、右半分:左方からの図)

J0832 (右脳:成人脳の正中断面を左側からの模式図)