薄束(後索の)Fasciculus gracilis
解剖学的特徴
- 脊髄後索の内側部に位置する神経束で、ゴル束としても知られる。
- 脊髄の全長にわたって存在し、主に体の下半分からの神経線維を含む。
- 仙髄部、腰髄部、および下位6胸髄部の後根に由来する長い上行枝を含む。
- 主に大径有髄線維から構成され、下肢からの感覚情報を正確に伝達する。
- 神経線維は体性位置局在性を示し、内側から外側に向かって仙髄、腰髄、胸髄からの線維が配列する。
- 後根神経節細胞の中枢枝が構成する上行性伝導路である。
伝導路と機能
- 触覚と深部知覚の伝達を担う、重要な神経路である。
- 薄束核で終止し、その二次ニューロンは内側毛帯を形成して視床へと投射する。
- 伝達経路は後索-毛帯路の一部を形成し、意識的な体性感覚情報を脳へと伝える。
- 線維は延髄の薄束核まで上行し、ここで二次ニューロンにシナプスを形成する。
- 伝導速度が速く、正確な位置情報と時間的分解能の高い情報を伝達できる。
臨床的重要性
- 障害により、固有受容覚(位置覚、運動覚)と触覚・圧覚の障害が生じる。
- ビタミンB12欠乏症による亜急性連合性脊髄変性症において、選択的に障害されることがある。
- 深部感覚の障害により、失調性歩行や振動覚の低下が出現する。
検査と診断
- Romberg試験(ロンベルグ試験)で陽性所見が見られることがある。