
fに対応する延髄と脊髄の移行部(錐体交叉を通る断面)の模式図


J0888 (神経束と神経節細胞群を含む脊髄の模式的な断面図)

J0889 (神経要素の主要な関係は、横断面および縦断面で図示)
外側皮質脊髄路は、一次運動野(中心前回)から起始し、内包後脚、大脳脚、橋、延髄錐体を通過して下行する (Vanderah and Gould, 2021)。延髄下端の錐体交叉において大部分の線維が交叉し (Carpenter, 2020)、反対側の脊髄側索後部を下行する (Gray et al., 2023)。脊髄横断面では、後角と側角の間の側索に位置し (Watson et al., 2021)、脊髄下端まで達する過程で徐々に細くなる (Standring, 2021)。
本経路は主に大きな錐体細胞(Betz細胞)から起始する線維で構成されるが (Hammer et al., 2018)、運動前野や補足運動野からの線維も含まれる (Rathelot and Strick, 2022)。錐体路線維の約90%以上がこの経路を通るものの、個体差が大きい (Welniarz et al., 2017)。成人では完全に髄鞘化している (Ten Donkelaar et al., 2018)。
外側皮質脊髄路は全髄節の灰白質に線維を送り (Watson et al., 2021)、主に脊髄灰白質の第Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ、Ⅶ層に分布する (Lemon, 2019)。髄節毎に特定の筋群の運動を制御する体部位局在性(somatotopy)を示す (Kandel et al., 2024)。
外側皮質脊髄路は随意運動の制御において中心的な役割を担い (Lemon, 2019)、主に対側の筋の運動を制御する (Kandel et al., 2024)。運動ニューロンに直接的または介在ニューロンを介して間接的に影響を与える (Rathelot and Strick, 2022)。大脳皮質からの直接的な運動制御により、素早く正確な動作が可能となる (Lemon, 2019)。
特に手指や足趾の巧緻運動に重要な役割を果たす (Isa et al., 2018)。姿勢制御や歩行にも関与するが、これらは主に他の下行路が担う (Drew and Marigold, 2015)。また、運動学習や運動スキルの獲得に重要な役割を果たす (Willingham, 2018)。
外側皮質脊髄路の損傷により対側の随意運動障害(片麻痺)が生じる (Purves et al., 2022)。特に手指の巧緻運動障害が顕著となり (Lang and Schieber, 2016)、損傷部位によって症状の程度や分布が異なる (Ward, 2019)。錐体路徴候(深部腱反射亢進、Babinski徴候陽性など)が出現する (Ropper et al., 2019)。
脳卒中、外傷、腫瘍、多発性硬化症などにより障害されうる (Purves et al., 2022)。