脊髄内部の特徴

脊髄内部の特徴は以下のようにまとめられます:

これらの特徴により、脊髄は末梢神経を制御する回路中枢としての機能と、脳からの指令を伝達する伝導路としての機能を果たしています。

日本人のからだ(後藤 昇・国府田 稔 2000)によると

脊髄を横断面で観察すると、その内部構造は中心にH字形をした灰白質があり、上下に連続しています。また、この灰白質は周囲の白質に囲まれています。灰白質全体を灰白柱と呼びます。灰白柱は前柱(前角)、後柱(後角)、中間質(中心部と外側部)に分けられます。さらに、胸髄レベル(C8-Th 12、場合によってはL 1-2まで)では側柱(側角)が存在します。白質部分は前索、側索、後索によって構成されます。

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図27 脊髄横断面の形態とレベル診断(後藤,1988j)

図27 脊髄横断面の形態とレベル診断

Kultschitzky髄鞘染色切片からトレースしたものです。

C2: 中等度の網様体(FR)、中等度の膠様質(SG)、前柱(AC)の幅が狭い。 C3: FRは少ない、SGは少ない、ACの幅は狭く、中問質中心部(PIMC)が長い。 C4: 卵円形の脊髄(OSC)、ACが左右に広がり僧帽形、PIMCが長い。 C5: OSC、ACの幅が広く、3つの塊、PIMCが長い。 C6: OSC、ACの幅が広く、PIMCが長く、前柱が四角形。 C7: OSC、ACの幅が広く、平坦、PIMCが長い。 C8: ACの内側端が前方に凸、Clarke柱(CC)が出始める。 Th1: 灰白質(GM)が少ない、ACが少ない、幅が狭く、CCと側柱(LC)がある。 Th2、3: 脊髄が小さい(SSC)、ACの幅が狭く、LCとCCがある。 Th4-8: SSCが円形、GMが小さい、ACの幅が狭く、LCとCCがあり、PIMCが短い。 Th9-11: 円形、GMがやや増大、後柱(PC)の基部の幅が広く、SGが増大。 Th12: 円形、LCとCCがある、PCの基部の幅が広く、SGが増大。 L1: ACが増大、CCが大きい、PCが増大、基部の幅が広く、LCが小さい。 L2: 円形、ACが四角形、PCが大きい。 L3: 白質(WM)が小さい、PCが大きく、四角形、SGが顕著。 L4: WMが小さい、GMが大きい、PCが大きく、四角形、ACが後外側に発達、SGが顕著。 L5: WMが小さい、GMが大きい、ACが半円形、SGが顕著。 S1: WMが小さい、GMが大きい、ACが大きい、半円形、PIMCが発達、SGが顕著。 S2: SSC、WMが小さい、GMが大きい、PIMCが発達、PCが小さく、平坦、ACが半円形、Onuf核、SGが顕著。 S3、4: SSC、WMが小さい、GMが大きい、PIMCが発達、Onuf核、SGが顕著。 S5: SSC、ACに大型神経細胞なし、CO: SSC、終室あり。

(1)脊髄の灰白質と白質の量的検討

脊髄の観察は、LFB-CV染色(Kluver-Barrera法)などの染色切片で行います。多くの染色法の中から、Weigert系の染色切片を基に、各髄節ごとの全横断面積、白質の面積、灰白質の面積を画像解析装置で計測し、その結果を図28表17に示します。