
J0816 (脊髄を通る断面(大人の):第5仙骨神経の出口点) J0817 (脊髄を通る断面(大人の):第3仙骨神経の出口点) J0818 (脊髄を通る断面(大人の):第1仙骨神経の出口点) J0819 (脊髄を通る断面(大人の):第3腰神経の出口点) J0820 (脊髄を通る断面(大人の):第1腰神経の出口点) J0821 (脊髄を通る断面(大人の):第8胸神経の出口点) J0822 (脊髄を通る断面(大人の):第2胸神経の出口点) J0823 (脊髄を通る断面(大人の):第5頚神経出口点(頚膨大の最大幅))
1.1 灰白質と白質の構成
脊髄の横断面において、中心部にはH字形またはバタフライ状の灰白質が位置し、その周囲を白質が取り囲む特徴的な構造を示します (Patestas and Gartner, 2016; Standring, 2021)。灰白質は主に神経細胞体、樹状突起、無髄軸索、グリア細胞、毛細血管から構成され、神経情報の統合と処理を担います (Crossman and Neary, 2019)。一方、白質は有髄神経線維束により構成され、中枢神経系内での情報伝達路を形成しています (Watson et al., 2012)。
1.2 中心管
灰白質の中央を縦走する中心管(canalis centralis)は、脳室系と連続する細い管腔構造であり、脳脊髄液で満たされています (Standring, 2021)。発生学的には神経管の内腔に由来し、成人では多くの部分で閉塞または狭小化していますが、脊髄の正中構造の重要な指標となります (Schoenwolf et al., 2015)。
2.1 灰白質の区分
灰白質は機能的・解剖学的に前角(anterior horn/ventral horn)、後角(posterior horn/dorsal horn)、中間帯(intermediate zone)に区分されます (Standring, 2021)。前角は主に運動ニューロンの細胞体を含み、骨格筋への遠心性出力を担当します (FitzGerald et al., 2016)。後角は感覚性求心性線維の第一次中継点として機能し、体性感覚情報の初期処理を行います (Crossman and Neary, 2019)。胸髄レベル(T1-L2/L3)では、中間帯の外側部に側角(lateral horn)が形成され、交感神経系の節前ニューロンが存在します (Patestas and Gartner, 2016)。
2.2 Rexedの層構造
灰白質は細胞構築学的にRexedの層構造(laminae I-X)に分類されます (Watson et al., 2012)。層I-VI は後角に対応し、感覚情報処理に関与します。層VII は中間帯、層VIII-IX は前角に相当し、運動制御に関与します。層X は中心管周囲の灰白質です (Crossman and Neary, 2019)。この層構造は、脊髄における情報処理の機能的組織化を反映しています。
2.3 神経細胞の種類と分布
前角にはα運動ニューロン、γ運動ニューロン、介在ニューロンが存在し、筋収縮の制御と反射弓の形成に関与します (FitzGerald et al., 2016)。後角には投射ニューロンと介在ニューロンが存在し、痛覚、温度覚、触覚などの感覚情報の中継と修飾を行います (Standring, 2021)。側角の節前ニューロンは、内臓機能の自律神経性制御を担っています (Patestas and Gartner, 2016)。
3.1 白質の区分
白質は前索(anterior funiculus)、側索(lateral funiculus)、後索(posterior funiculus)の3つに区分されます (Standring, 2021)。これらの索は、前正中裂、後正中溝、および前根と後根の出入部により境界づけられます (Watson et al., 2012)。
3.2 主要な伝導路
後索には、識別性触覚と固有感覚を伝達する薄束(fasciculus gracilis)と楔状束(fasciculus cuneatus)が走行します (Crossman and Neary, 2019)。側索には、皮質脊髄路(外側)、脊髄視床路(前外側)、脊髄小脳路(後外側・前外側)などの主要な上行性・下行性伝導路が含まれます (FitzGerald et al., 2016)。前索には、前皮質脊髄路、前脊髄視床路、網様体脊髄路などが走行します (Patestas and Gartner, 2016)。