脳硬膜 Dura mater cranialis
基本構造と特徴
- 脳硬膜は、脳を覆う髄膜の最外層であり、頭蓋骨の骨膜としても機能する内外2層構造を持つ。
- 大脳鎌、小脳鎌、小脳テントという突起を内方に出して、脳を固定する重要な構造を形成する。
- 組織学的には密な膠原線維の層で構成され、弾性線維も含まれる。
- 内層(髄膜層)と外層(骨膜層)の2層構造を持ち、両層間に硬膜静脈洞を形成する。
- 頭蓋骨との結合は、特に縫合部と頭蓋底で強固である。
解剖学的特徴
- 小脳鎌の形成状態には個人差があり、良好(29%)、不完全(43%)、欠損(28%)の3つに分類される。
- 硬膜静脈洞は、硬膜の内外2層間に存在し、静脈血を集める重要な経路となる。
- 脳硬膜は、成人では各部位で厚さが異なり、後頭窩で最も薄く、側頭窩で最も厚い。
- 頭蓋骨との固定は、特に頭蓋縫合部と頭蓋底で強固で、加齢とともに癒着が強くなる。
- 大脳鎌は大脳縦裂に深く入り込み、左右の大脳半球を分離する重要な構造を形成する。
- 小脳テントは大脳と小脳を分離し、テント切痕部で中脳が通過する。
血管支配と神経分布
- 中硬膜動脈、前硬膜動脈、後硬膜動脈から、血液供給を受ける。
- 三叉神経の分枝が感覚神経支配を担当し、また、迷走神経と交感神経線維も分布する。
主な発生学的特徴
- 胎生期には神経外胚葉由来の脳原基を取り囲む間葉組織から発生する。
- 発生初期には単層であるが、後に内外2層に分化し、その間に静脈洞を形成する。