硬膜 Pachymeninx

J0902 (硬脳膜:上方からの図)

J0903 (脳硬膜:右上方からの図)
1. 解剖学的構造
1.1 髄膜の基本構造
髄膜は、脳と脊髄を覆う3層構造であり、外側から硬膜(Dura mater)、クモ膜(Arachnoid mater)、軟膜(Pia mater)で構成される (Gray and Standring, 2021)。クモ膜と軟膜を合わせて、広義の軟膜(Leptomeninx)という (Gray and Standring, 2021)。脳脊髄液により硬膜とクモ膜の間に硬膜下腔が形成される (Weller, 2005)。脊髄硬膜腔には脂肪組織と静脈叢を含む硬膜外腔が存在する (Haines and Mihailoff, 2018)。
1.2 硬膜の組織学的構造
- 頭蓋骨内面に密着する強靭な結合組織であり、外層(骨膜層)と内層(髄膜層)の2層構造からなる (Haines and Mihailoff, 2018)。
- 内層は適度な弾性を持ち、頭蓋内圧の変化に対応できる構造となっている (Gray and Standring, 2021)。
- 硬膜は、頭蓋骨の内板と強く癒着しており、頭蓋底部では特に密着度が高い (Rhoton, 2020)。
- 硬膜の外層と内層の間には、主要な硬膜静脈洞が形成される (Rhoton, 2020)。
1.3 硬膜の突起構造
- 大脳鎌(Falx cerebri)、小脳テント(Tentorium cerebelli)、小脳鎌(Falx cerebelli)の3つの主要な突起部を有する (Haines and Mihailoff, 2018)。
- 大脳鎌は、前方では篩骨鶏冠に、後方では後頭骨内隆起に付着する (Rhoton, 2020)。
- 小脳鎌の形成には個人差があり、形成良好(29%)、不完全(43%)、欠損(28%)に分類される (Rhoton, 2020)。
1.4 静脈洞系
- 静脈洞の形成に関与し、上矢状静脈洞、横静脈洞、S状静脈洞などの主要な静脈洞を含む (Haines and Mihailoff, 2018)。
- これらの静脈洞は硬膜の外層と内層の間に位置し、脳からの静脈血を集める (Gray and Standring, 2021)。
1.5 硬膜の開口部
頭蓋底部では、神経や血管が通過する開口部を形成する (Haines and Mihailoff, 2018)。これらの開口部は脳神経や主要血管の通過点として重要である (Rhoton, 2020)。
1.6 脊髄硬膜の特徴