髄膜は脳と脊髄を覆う三層(硬膜・クモ膜・軟膜)からなる保護膜で、血管や三叉神経の枝によって豊富に支配され、髄膜炎や硬膜下血腫などの臨床病態に関与する。発生学的には硬膜は中胚葉性の二層、クモ膜と軟膜は神経堤細胞由来で、脳脊髄液の循環系を形成する。
硬膜(dura mater encephali):頭蓋骨内面に密着する強靭な線維性膜。頭蓋内では硬膜が二層性となり、
の間隙が静脈路として展開し、**硬膜静脈洞(dural venous sinuses)**を形成する(Standring, 2021)。
硬膜中隔(dural folds / septa):髄膜層が折り込まれ、脳区画を支持する。代表は
これらの付着部は静脈洞(上矢状洞、直洞、横洞など)と密接に対応する。
クモ膜(arachnoidea mater):薄い無血管性の膜で、硬膜とは**硬膜下腔(subdural space:潜在腔)**を介する。クモ膜の梁(クモ膜小柱:arachnoid trabeculae)が深層で軟膜に連絡する(Standring, 2021)。
クモ膜下腔(subarachnoid space):CSFで満たされ、**脳底槽(subarachnoid cisterns)**として拡大部を作る。臨床上重要な槽として、大槽(cisterna magna)、脚間槽(interpeduncular cistern)、視交叉槽(chiasmatic cistern)、**橋前槽(prepontine cistern)**などがある(Ropper & Samuels, 2019)。
軟膜(pia mater):脳表(回・溝)に密着する血管性の膜。脳表動静脈を包み、脳実質へ進入する血管周囲に**血管周囲腔(Virchow–Robin space)**を伴うことがある(Standring, 2021)。