中枢神経系 Pars centralis systemae nervosi
構造と構成
- 中枢神経系は、脳と脊髄で構成され、12対の脳神経と31対の脊髄神経を含む (Kandel et al., 2021)。
- 神経細胞(ニューロン)は、多数の短い樹状突起と1つの長い軸索を持つ (Bear et al., 2020)。
- シナプスは、神経細胞間の情報伝達を担う特殊な接合部位である。
- 中枢神経系は、硬膜、クモ膜、軟膜の三層の髄膜に包まれ保護されている (Purves et al., 2019)。
- 脳脊髄液(CSF)は、脳室系と脊髄中心管を満たし、物理的保護と代謝物の除去を行う。
組織学的特徴
- 神経細胞と突起で構成され、神経膠という特殊な組織で満たされている (Squire et al., 2022)。
- 灰白質は神経細胞体と突起の基部を含み、白質は神経線維(軸索)で構成される。
- 星状細胞やオリゴデンドロサイトなどの神経膠細胞は、神経細胞の支持、栄養供給、髄鞘形成などの重要な機能を担う (Kettenmann & Ransom, 2023)。
- 血液脳関門(BBB)は、有害物質から中枢神経系を保護し、選択的な物質輸送を制御する。
- シナプス可塑性により、学習や記憶の形成に関わる神経回路の再構築が可能となる。
発生学的特徴
- 外胚葉から発生し、神経管を形成して、脳と脊髄の基礎となる (Gilbert & Barresi, 2021)。
- 神経管は、前方が膨らんで脳胞を形成し、後方は脊髄となる。
- 脳胞は前脳胞、中脳胞、後脳胞に分かれ、さらに分化して成熟した脳の各部位を形成する。
- 神経堤細胞は、末梢神経系や他の組織の形成に重要な役割を果たす。
- 発生過程で神経細胞の増殖、移動、分化、シナプス形成が段階的に進行する (Stiles & Jernigan, 2020)。
- アポトーシスによる細胞死も、適切な神経回路の形成に重要な役割を果たす。