腎面(脾臓の)Facies renalis splenica

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J0715 (脾臓:前方から少し右側からの図)

脾臓の腎面は、下方に位置し、腎臓に接触する面です。

解剖学的構造

脾臓の腎面は、脾臓の内臓面(facies visceralis)の一部を構成し、下内側方に位置する凹面である。この面は左腎臓の外側凸面、特に腎臓の上極付近に接触しており、腎陥凹(renal impression)とも呼ばれる(Standring, 2020)。脾臓は第9肋骨から第11肋骨の高さに位置し、その長軸は第10肋骨に沿って走行するため、腎面は腎臓の上部および中部に対応する(Moore et al., 2018)。

脾臓の内臓面は複数の隣接臓器との接触面から構成され、腎面のほかに胃面(facies gastrica)、結腸面(facies colica)、膵面(facies pancreatica)が含まれる(Netter, 2018)。これらの面は脾臓の発生過程における周囲臓器との位置関係を反映している(Sadler, 2019)。

臨床的意義

画像診断における重要性

腎面の解剖学的知識は、CT・MRI検査において脾臓と左腎臓の関係を評価する際に重要である(Webb et al., 2015)。脾腎角(splenorenal angle)の変化は、後腹膜腫瘤や脾腫の診断に有用な所見となる(Federle et al., 2017)。

外科的考慮事項

脾摘出術(splenectomy)において、脾腎間の解剖学的関係は重要である。脾腎靱帯(splenorenal ligament)は脾臓の腎面から腎臓へと延びる後腹膜ヒダであり、脾動静脈の尾部枝を含むため、術中の注意深い処理が必要である(Yada et al., 2021)。腹腔鏡下脾摘出術では、脾臓を内側に牽引する際に腎面と腎臓の癒着を慎重に剥離する必要がある(Poulin et al., 2012)。

病理学的関連

脾腫(splenomegaly)が顕著な場合、腎面の腎臓への圧迫が増強し、左腎への機械的影響が生じることがある(Williams & Warwick, 2018)。また、脾外傷において腎面の損傷は後腹膜出血のリスクを伴う(ATLS, 2018)。

参考文献